SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018『スポットライト』 主演女優ヴィクトリア・イサコヴァQ&A (7/21)

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スポットライト  英題:Light Up   
2017年/ロシア/97分
監督:キリル・プレトニョフ
出演:インガ・オゴルディナ、ヴィクトリア・イサコヴァ、ウラジミール・イリン、アンナ・ウコロワ、アレクセイ・シェフチェンコフ、エカテリーナ・アギーヴァ

*ストーリー*
女性刑務所の看守アレフチナはいつも厳しい態度だが、ふっと口ずさむ歌声はオペラ歌手も顔負け。同僚が隠し撮りしてインターネットに投稿した動画を見て、テレビ局がやって来る。美人アナウンサーからオーディション番組への出演を勧められるが、アレフチナは少女の頃の出来事がトラウマになっていて人前で歌うのが怖い。やっと、オーディションに挑む決意をして、夫殺しで収監されている音楽学校出身の囚人スターから指導を受ける。そして、いよいよモスクワのテレビ局に向かうが・・・

アレフチナが看守の制服を脱いで、赤いドレスに身を包んだ姿が眩い。でも、とんとん拍子には進まなくて、笑わせてくれる場面も。歌のレッスンを通じて、囚人と心を通わせていく様や、いつも素っ気無い夫が、妻の歌う姿に、にやりとするのにも和ませられました。


◆7.21(土) 14:30~映像ホールでの上映後のQ&A
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囚人を演じた女優ヴィクトリア・イサコヴァさんをお迎えして、Q&Aが行われました。
司会は、長編コンペ作品第一次審査委員の国弘よう子さん。

3度目の来日となるヴィクトリア・イサコヴァさん。
「また、モスクワから日本に来ることができて嬉しいです」と第一声。

*会場より
― スパシーバ! ロシアの人たちの演技に感激しました。日本の刑務所ではありえない話でしたが、ロシアではありえるのでしょうか? また、実際に刑務所に行ってみましたか?

ヴィクトリア:女性の刑務所が舞台の映画は、2作目でした。前回の映画は刑務所を借りて撮影しましたので、どういうところなのかは知っています。
ただ、今回の物語はロシアで実際にこのようなことがあるというのではなく、芸術作品として捉えてください。監督は、イギリスの刑務所で実際にあった話を聞いて、ロシアの現実にみあったものとして脚本を書きました。ほんとにある話と思えないのですが、テーマはリアリスティックで、大事なことが描かれていると思います。映画のジャンルはリアリスティックなおとぎ話でしょうか。

― 殺人罪で3年の懲役は短いと思いました。

ヴィクトリア:監督から、刑務所に入る前のことを聞きました。意図的な殺人なら刑期は長いのですが、私が演じた女性の場合は夫から虐げられて困難な状況にある中で殺してしまったので情状酌量で刑期が短いのです。役者としての私は、彼女の行った行為を正当化するような役目でした。監督と話して、どういう人生を歩んできたかを踏まえて演じました。

― 看守役のインガさんの歌は吹き替えだったのでしょうか?

ヴィクトリア:簡単な部分は、素晴らしい相手役のインガさんがご自身で歌っていました。難しいアリアは吹き替えです。

司会:ラストのミュージカルの部分は、ロシアで有名な女優さん二人の実際の声ですね。
(エンディングロールの左脇に、出演者によるミュージカルが繰り広げられていました)
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― 看守の女性が小さい時に舞台で皆の前で歌っていた「おじいさんの時計」は、ロシアでよく歌われているものですか?

ヴィクトリア:親しみが持てて、今でも歌われている古典的な人気の曲です。

― 先日、サッカーを観戦しにロシアに行った折に、ボランティアで小中学校を訪ねました。映画に出てきたような、ステージのある場所があって、衣装もいろいろ置いてありました。また、駅には第二次世界大戦の記録が展示されていました。

ヴィクトリア:ロシアでは古典的な芸術を大事にしています。演劇や映画を観ると、自由な気持ちになれると思います。戦争の記憶は強く人の心に残っています。第二次世界大戦はソ連時代ですが、当時のソ連の家庭では誰かしら戦争の犠牲になっています。個々人に係わってくる記憶です。ファシズムに勝利したけれど、国民にとっては犠牲を伴った悲劇でした。戦争が繰り返されることを願っていません。

この後も、質問が続いたのですが、『横道世之介』の上映時間が迫ったので、後ろ髪を引かれる思いで退席しました。 (景山咲子)


SKIPシティ国際Dシネマ映画祭 デイリーニュース 7月21日のQ&A
http://skipcity-dcf.jp/news/dailynews/20180721_dairy24.html





SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018『招かれざる者』エドン・リズヴァノリ監督Q&A(7/19) 

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招かれざる者  英題:Unwanted
2017年/コソボ、オランダ/85分
監督:エドン・リズヴァノリ
出演:アドリアナ・マトシェ、ジェイソン・デ・リダー、ニキ・フェルカール、エドン・リズヴァノリ

*ストーリー*
アムステルダムで暮らすコソボ難民の母と息子。
花屋に勤めるザナは、校長から、息子のアルバンがまた喧嘩をしたと呼び出される。もう転校させられないと息子に言い渡すザナ。一方、アルバンはバイト先の自転車屋で、アナという少女と知り合い付き合い始める。家にも遊びに行くが、アナは父から「アルバニア人のアルバンとは付き合うな」と言われる。アナの父はセルビア人。実はザナと同じコソボ出身だ。コソボを訪れたことがないというアルバンに、「バルカンの人間は家族の絆が強いのに、一度も行ったことがないのか」とアナの父は言う。
祖母が亡くなり、アルバンは母ザナに連れられて初めてコソボを訪れる。だが、母の家族も友人も、「なぜ来た?」と二人につれない。徐々に明かされる紛争の記憶・・・

<コソボ紛争>
1998年から1999年にかけて激化したコソボ紛争。もともと、1990年にセルビアのコソボ・メトヒヤ自治州で9割以上の人口を占めていたアルバニア人が独立を宣言し、コソボ共和国という新しい国を建てたことが発端で、セルビアが、セルビア人優先の政策を行使したことに対し、アルバニア人が反発。1997年頃、一部のアルバニア人によるコソボ解放軍が、武力攻撃を開始する。しかし、セルビアが徹底的に弾圧したことで、多くのアルバニア人難民が生まれる結果となった。(公式サイトより引用)

◆7月19日(木)2時半~多目的ホールでの上映後 
 エドン・リズヴァノリ監督Q&A

司会:木村さん 通訳:松下さん

監督:ご覧いただきありがとうございます。前回の上映のときに、コソボについて知らないのでわかりにくかったという声がありましたので、少し説明します。
なぜ、コソボ生まれのアルバニア人の私が、10代のときに外国に出たのか。それは、クロアチアと戦うために、セルビアに徴兵されることに反抗してのことだったのです。アメリカにも住んだことがあります。この私の移民として外国に出ざるをえなかったことが、ヒロインのザナに反映されています。

司会:監督ご自身はザナに近い立場ですが、映画の中ではセルビア人の父親役で出ていますね。ご自信をキャスティングするにあたって、どんな思いでしたか?

監督:オランダ人の俳優で考えていた人がスケジュールが合いませんでした。時間もなかったので自分で出ることにしました。苦労したのは、監督しながら演技もしなくてはならなかったことです。スタッフが40人もいて、自分自身の役柄にあまり裂く時間がありませんでした。

司会:デビュー作で、監督と俳優の二役は大変でしたね。

監督:デビュー作で、予算も5万ユーロという少ない製作費で、2カ国で撮影しました。短い時間で仕事をしなくてはならなくて、多くのことを学びました。

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★会場とのQ&A
― 最後がよくわかりませんでした。サッカーで喧嘩した相手に、最後にまた挑んだのは?

監督:脚本段階で、アナの父に向かっていくことを考えましたが、ボコボコに打ちのめされるのも覚悟でサッカーに向かう最後にしました。

― 重たい内容でした。ラストでアナとアルバンを新しいカップルとして希望を見せようとしたのですか? それとも?

監督:白黒はっきりせず、グレイゾーンにしています。ザナが戦争でどんな経験をしたのか、アルバンがレイプの結果として存在している子。それをわかって、前進するのは簡単なことではありません。第二次世界大戦やその他の戦争でも起きていること。コソボだけで2万人がレイプの被害者です。家族を目の前で殺された人もいます。簡単に前を向いて行こうよとはいえない。希望だけでなく、勇気を持って前に進もうと。

― ザナやアルバンを演じたのは、どういう人たちですか?

監督:アルバンはオランダ人。ザナはコソボ出身。親子として違和感のない二人を選びました。アルバンは歴史も知らなくて、何も背負ってない人物です。彼は短編でも起用したことがあります。ザナはサンダンス映画祭に出品された映画にも出演している女優です。

― 一作目にこの内容を選んだのは?
戦争は終わっても、後を引きずっていることを伝えてくれて、素晴らしい作品でした。


監督:人に押し付けることはしたくないので、個々人で感じてほしい。反戦映画か?とも言われますが、どれほど映画で説明できるのかと思います。

司会:次の企画は?

監督:脚本の助成金を受けました。コソボで撮影します。4つのエピソードが繋がる内容です。『腐敗』をテーマにしたブラックコメディです。

*****
会場の外で、観客の皆さんが監督を待ち構えていました。
中には、アルバニア語で話しかけた方も!
最後に私も立ち話。映画に出てきたコソボの町は、監督の故郷の町。風情のある町にいつか行ってみたいと申しあげたら、これから観光誘致に力を入れるので、行くなら早いほうがいいとのことでした。(景山咲子)


SKIPシティ国際Dシネマ映画祭 デイリーニュース 7月15日のQ&A

http://skipcity-dcf.jp/news/dailynews/20180715_dairy11.html





東京イラン映画祭

イラン日本外交関係樹立90周年を迎えるにあたって開催されます。

主催: イラン・イスラム共和国文化参事室 (イラン文化センター)
協力:港区、港区国際交流協会

会期:8月7日(火)~9日(木)

会場:赤坂区民センター 区民ホール
東京都港区赤坂4-18-13
地下鉄 青山一丁目、赤坂見附 徒歩10分
http://www.akasaka-civiccenter.jp/shisetsu/access.html

★入場無料、予約不要です。

日程:
8月7日(火) 
10時~『ナルゲスの季節』
13時~『ボディーガード』
15時~ オープニング挨拶 『シャルギー(東洋人)』
19時~『モバーラク』

8月8日(水)
10時~『情愛』
13時~『モバーラク』
15時~『人魚』
17時~『ナルゲスの季節』
19時~『私の靴はどこだ?』

8月9日(木)
10時~『情愛』
13時~『私の靴はどこだ?』
15時~『ボディーガード』


◆モバーラク
2014年/90分 英語字幕
監督:モハンマドレザー・ナジャフィー・エマーミー
ストーリーの語り部である一人の老人は、ペルシア文学の古典『シャーナーメ(王書)』のキャラクターに登場する人形を仕事に使っている。老人の孫娘ゴルパリーは、祖父が大嫌いだった。おもちゃ屋オーナーのエッシー・パラングは、人形を奪い取ろうと企むが、それらが命を獲得するとゴルパリーとともに不思議な冒険に巻き込まれる。

◆ボディーガード
2015年/105分 英語字幕
監督:エブラヒーム・ハータミーキヤー
政府要人を自爆テロから守る護衛官(ボディーガード)を務めるヘイダルは、理想家的気質の人間であった。彼は、とある職務上の問題に直面し、仕事への献身に疑問を抱き始める。


◆ナルゲスの季節
2015年/95分 英語字幕
監督:ネガール・アーザルバイジャーニー(女性監督)
ナルゲスの季節は、色々な出来事が起きている今日、自己中心的でナルシズム的な世界で、心の透明性を失っておらず、人間性や友情に通じる良き感情を正しく理解できる普通の人々のストーリー。この作品では、3つの関連するストーリーを通じて3人の女性の生活を描き出す。

◆私の靴はどこだ?
2015年/100分 英語字幕
監督:キヨマルス・プールアフマド
アルツハイマー症候群を扱った作品。工場経営者ハビーブ・カーヴェは、アルツハイマー症候群を患い、家族からも見離れて行く。ちょうどその頃、娘が外国から帰国してくる。


◆情愛
2015年/73分 英語字幕
監督:セイエド・ジャラール・デフガーニー・エシュカザリー
トゥーバーは、三人の子供がいる母。夫メイサムは瞬きでしか妻と意思疎通ができない。メイサムを慕うアミールホセインの結婚式がとり行われようとする中、彼女は夫を想い案じながら一人つぶやく・・・

◆人魚
2015年/95分 英語字幕
監督:マスウード・アーガーバーバーイーヤーン
映画の舞台では、ペルシア湾の碧い海の中、イラン・イラク戦争8年間の時期に殉教した潜水兵の像が据えられる


◆シャルギー(東洋人)
2018年/124分  日本語字幕(ドキュメンタリー映画)
監督:マスウード・ターヘリー
『シャルギー(東洋人)』は、日本の碩学、井筒俊彦氏の作品・思想・業績に関するドキュメンタリー映画です。このドキュメンタリー映画では、彼の友人や弟子たち、イランや世界各国の著名人とのインタビューを元に、マスウード・ターヘリー氏が制作・脚本・監督を兼任し、井筒教授の生涯とその思想を描き出す作品に仕上げました。