「大阪発。日本全国、そしてアジアへ!」を旗印に、アジア各国の映画、日本初上映の作品、シンポジウム、交流イベントなどがおこなわれる『大阪アジアン映画祭』。
実行委員長・上倉庸敬氏の「映画祭をとおしてあたたかいアジアの交流がますます活発になりますよう、スタッフ一同、心から願っています」とのべられた。
ゲスト登壇では『どこでもない、ここしかない』の監督、リム・カーワイさんが代表で挨拶された。
「今、私は大阪に住んでいます。自分の作った6作品のうち、5作品もこのアジアンで上映されました。この地、大阪から日本、そして世界に羽ばたきたいと願っています」と流暢な日本語で話された。
ゲストの中でひときわ大きな拍手で迎えられた 『朴烈(パクヨル) 植民地からのアナキスト』の金子文子を演じるチェ・ヒソさんは「私は韓国の俳優ですが、小学生の頃大阪で暮らしたことがあるので、日本語が話せます。
イ・ジュンイク監督は、最初はこわいお父さんみたいな感じでしたが、今では一緒に仕事をしたい監督ナンバーワンです。相手役のイ・ジェフンさんは大ファンで、恋人であり同志の文子役が決まった時は、叫び声をあげてしまいました」と教えてくれた。
🎬『朴烈(パクヨル) 植民地からのアナキスト』イ・ジュンイク監督/韓国/128分/日本初上映
1923年。関東大震災の直後にでっち上げられた噂で、関東近郊に住む多くの朝鮮人が殺害された。事態を沈静化するために日本政府は社会主義活動をしていた朝鮮人青年・朴烈と彼の恋人・金子文子とともに逮捕された。
日本政府の策略に気付いた朴烈と文子は皇太子暗殺計画を自白。大逆罪で起訴された二人は歴史的な裁判へと進んでいく。
映画の始まりは車夫をする朴烈を日本人の男が満足に代金も払わず足蹴にしたり散々暴力をふるうシーンで身が縮まったが、文子の明るさ、利発さに、そんな気持ちも吹っ飛んだ。
二人は会ったその日に文子の「一緒に住みましょう! 」というセリフに会場はドッと笑い声が上がった。
当時の日本における朝鮮人に対する差別はもっとすごかったとおもうが、彼らの周りには、助けてくれたり親身になってくれた日本人も描かれていた。
とにかく脚本がよくできていてわかりやすく、当時の状況を知らない方々に観ていただきたい作品だった。