イスラーム映画祭8 (2023年開催)早くもラインナップ発表!

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早くも日程が決まり、ラインナップも発表されました。
私にとって、一番楽しみな映画祭です。
藤本高之さん、ありがとうございます!
継続は力なり

渋谷ユーロスペース 2023年2年18日(土)~24日(金)
名古屋シネマテーク 2023年春
神戸・元町映画館 2023年4月29日(土)~5月5日(金)

http://islamicff.com/index.html

上映作品:
劇場初公開 1本
日本初公開 3本
イスラーム映画祭的名画座セレクト 6本
映画祭アンコール 4本
の計14作品。

☆イスラーム映画祭主宰 藤本高之さんの言葉☆
今回は、2023年で1948年のイスラエル建国による“ナクバ(大災厄)”から75年を迎えるにあたり、あらためて「パレスチナ」を取り上げます。

また今年はフランス映画の特集上映が続いている流れを受け(便乗して)、イスラーム映画祭でもフランスの「マグリブ移民とその第二世代」をテーマにした小特集を組みます。

そして今回は“イスラーム映画祭的名画座セレクト”として、過去に国内で一般公開されながらも未ソフト化の作品をリバイバルする他、ソフト化はされていても劇場での上映権が切れている作品や、国内の他の映画祭で上映されたきり埋もれたままになっているレアものを権利を再取得したうえでお目にかけます。 

【イスラーム映画祭8上映作品①】
《ガッサーン・カナファーニー没後50年特別上映》

『太陽の男たち』原題:Al-Makhdu'un 英題:The Dupes
監督:タウフィーク・サーレフ / Tewfik Saleh
1972年 シリア 107分
言語:アラビア語
字幕:日本語、英語(with English Subtitles)
★劇場初公開

1972年にベイルートで爆殺されたパレスチナ難民の作家、ガッサーン・カナファーニー(1936-72)の代表作映画化にして、“アラブ映画史における最重要作”の1本。

ヨルダンからイラクのバスラにやって来た3人のパレスチナ難民。彼らは金を稼ぐため、同じ難民の男が運転する給水車の空のタンクに潜み、クウェートへの密入国に挑む。しかし、
太陽に熱されたタンク内にいられるのはほんの数分…。

原作との違いにパレスチナをめぐる70年代の状況も垣間見える歴史的名作。

これまでにアラブ文化協会の上映会などで、3回観ていますが、いずれもスクリーンが小さかったので、大きな画面で観られるのは嬉しいです。
金満クウェートの役人たちと、密入国するしかないパレスチナの人たちとの対比が強烈です。忘れられない一作。(咲)


【イスラーム映画祭8上映作品②】
『マリアムと犬ども』原題:Aala Kaf Ifrit 英題:Beauty and the Dogs
監督:カウサル・ビン・ハニーヤ / Kaouther Ben Hania
2017年 チュニジア=仏=スウェーデン=ノルウェー=レバノン他 100分
言語:アラビア語
字幕:日本語、英語(with English Subtitles)
★日本初公開

予告篇
https://youtu.be/LoWiB6Bj-v8

2021年に『皮膚を売った男』で日本に初めて紹介されたカウサル・ビン・ハニーヤ監督作。
“アラブの春”と呼ばれたチュニジア革命後の2012年に実際に起きた警察官による性暴行事件をモチーフにした作品。
元となった事件は、イスラム主義政党はじめ様々な政治勢力が乱立する民衆革命後の混乱期に起き、社会を揺るがせました。
しかし監督は本作を日本を含む世界に共通の問題として描いています。
※本作には性暴力を間接的に描いたシーンがあり、被害者が二次加害を受けるシーンも頻出いたします。 ご注意ください。


【イスラーム映画祭8上映作品③】
『陽の届かない場所で』原題:Au-Delà De L'ombre 英題:Upon the Shadow
監督:ナダー・マズニー・ハファイヤズ / Nada Mezni Hafaiedh
2017年 チュニジア=フランス 80分
言語:アラビア語
字幕:日本語、英語(with English Subtitles)
予告篇
https://youtu.be/qDZFvq1sYK0
★日本初公開

サウジアラビア生まれのチュニジア人、日本では初めて紹介されるナダー・マズニー・ハファイヤズ監督作。
人権活動家アミーナ・サブウィと、チュニジアの性的少数者コミュニティを描いたドキュメンタリー映画。
アミーナ・サブウィはウクライナ発祥のフェミニズム団体フェメンの元メンバー。
映画は、彼女が家族や地域から追い出されたゲイやトランスの人々と一つ屋根の下に暮らす様子を捉え、チュニジアのムスリム社会における性的マイノリティの苦悩を描きます。

*イスラーム映画祭7で上映した『ジハード・フォー・ラブ』の流れでラインアップした作品。


フランスのマグリブ移民とその第二世代をテーマにフランス映画の小特集

【イスラーム映画祭8上映作品④】
『ファーティマの詩(うた)』原題・英題:Fatima
2015年 フランス=カナダ 78分
監督:フィリップ・フォコン / Philippe Faucon
言語:フランス語、アラビア語
字幕:日本語、英語(with English Subtitles)
予告篇
https://www.youtube.com/watch?v=eHM9rSskaqw
★日本初公開

パリ同時多発テロから3ヵ月後の2016年セザール賞で最優秀作品賞を受賞した、フィリップ・フォコン監督作。
清掃の仕事をしながら2人の娘を育てるアルジェリア移民の女性とその娘たちの日常を通じ、フランス社会における移民の置かれた状況と希望を浮かび上がらせます。
欧州にイスラム過激主義の暴力が吹き荒れる中で、ムスリム移民の実直さと困難を描く本作が高く評価された事には大きな意義がありました。


【イスラーム映画祭8上映作品⑤】
『エグザイル 愛より強い旅』原題:Exils 英題:Exiles
監督:トニー・ガトリフ / Tony Gatlif
2005年 フランス103分
言語:フランス語、アラビア語、スペイン語
字幕:日本語、英語(with English Subtitles)

予告篇
https://youtu.be/PULCeco2lRQ

*2005年 劇場公開
シネジャ作品紹介『愛より強い旅』
ロマン・デュリス(フランス映画祭2022 オープニング作品『EIFFEL(原題)』主演)
ルブナ・アザバル(『ビバ!アルジェリア』)

フランス移民映画小特集2本目
*イスラーム映画祭的名画座セレクト①

日本でも人気のあるアルジェリア出身でロマのルーツも持つトニー・ガトリフ監督作。
ガトリフ監督の自伝的要素も強い本作は、ともにアルジェリアルーツのカップルがアイデンティティを求めてパリからアルジェを目指す物語。
フランス→スペイン→モロッコ→アルジェリアと続く旅をスーフィー音楽等を基にした、督自身による楽曲の数々が彩ります。
*国内未ソフト化です。

ビートのきいた刺激的なテクノ音楽、哀愁漂う中に力強さのあるフラメンコ、民族楽器とテクノを融合させて移民の心情を歌い上げるライ、そして、神との一体をはかるためのスーフィー(イスラーム神秘主義)音楽と、本作は音楽を巡る旅でもあります。 アルジェの町で、素肌を隠せと強要されて被っていたスカーフとコートを脱ぎ放ったナイマが、スーフィー音楽にあわせてトランス状態に陥っていくラストは圧巻。 ただし、本来のスーフィーの儀式に使用する三拍子系ではなく二拍子系リズムに変えてあり、監督のオリジナル。  (咲)


【イスラーム映画祭8上映作品⑥】
『キャラメル』原題:Sukkar Banat 英題:Caramel
監督:ナディーン・ラバキー / Nadine Labaki
2007年 フランス=レバノン96分
言語:アラビア語、フランス語
字幕:日本語のみ
予告篇
https://youtu.be/PvbHOhzJarU

*イスラーム映画祭的名画座セレクト② 
*2009年 劇場公開

2019年に『存在のない子供たち』http://cineja-film-report.seesaa.net/article/467923288.htmlがヒットしたナディーン・ラバキー監督の長篇デビュー作、ムスリムとキリスト教徒がともに暮らすベイルートのヘアサロンに集う、様々な愛の悩みやセクシュアリティを抱えた女性たちのドラマを美しい映像と音楽が彩ります。
レバノン内戦(1975〜91)をあえて題材から外し、中東映画は元よりアラブ女性のイメージを覆した本作はその登場自体が革命的なものでした。

なお、今回のリバイバルのため上映素材を新規作成するにあたり、公開当時に日本語翻訳をされた故・太田直子さんのご遺族の許諾を得て字幕を二次流用させていただきました。
お酒とタバコが大好きだったという太田さんの軽みとユーモアのある字幕も併せてお楽しみください。

アラビア語の原題『Sukkar Banatスッカル・バナート』は、女の子たちの砂糖の意味。スッカル・ナバート(氷砂糖)をもじったそうです。中東では砂糖と水とレモン汁を煮詰めてキャラメル状にしたもので無駄毛を処理する伝統があります。美容院を舞台にした物語で、この「キャラメル」が、重要な場面で使われています。詳細はこちらでどうぞ!(咲)
シネジャ作品紹介『キャラメル』 



【イスラーム映画祭8上映作品⑦】
『そこにとどまる人々』原題:Mayyel Ya Ghzayyel 英題:Those Who Remain
監督:エリアーン・ラヘブ / Eliane Raheb
2016年 レバノン=UAE 95分
言語:アラビア語
字幕:日本語、英語(with English Subtitles)
予告篇
https://vimeo.com/193056744

*イスラーム映画祭的名画座セレクト③

山形国際ドキュメンタリー映画祭の常連でもあるレバノンのエリアーン・ラヘブ監督作。
『キャラメル』など、“宗教のモザイク国家”と呼ばれるレバノンで作られた映画の背景を紐解くテクストとしても有益な作品です。
キリスト教徒のハイカルは、かつてはムスリムと隣同士で暮らしていた村でりんごや羊を育て、昔ながらの日常を送っている…。
シリア国境に近いレバノン北部の村に住む主人公が、長びく宗派間の諍いや、シリア危機によって村が変容しながらも、昔と変わらない生活を黙々と続ける姿に多くを考えさせられます。

*『ミゲルの戦争』(YIDFF2021)監督作品。


【イスラーム映画祭8上映作品⑧】
『キャプテン アブ・ラエド』原題・英題:Captain Abu Raed
監督:アミン・マルタカ / Amin Matalqa
2007年 ヨルダン=アメリカ 102分
言語:アラビア語
字幕:日本語、英語(with English Subtitles)
予告篇
https://youtu.be/sNMNp8-VhMg

*イスラーム映画祭的名画座セレクト④

日本ではSKIPシティ国際Dシネマ映画祭とNHKアジア・フィルム・フェスティバルで上映された他、BSでわずかながら放送されただけの知る人ぞ知るアラブ映画の良作。
イスラーム映画祭初のヨルダン映画。

妻を亡くして国際空港の清掃員をしながら孤独に生きていた主人公が、ひょんなきっかけで近所の子どもたちにパイロットと間違われる事から始まる物語。
少量で足るを知り、誰とも等しく接し、弱い者には手を差し伸べる。
実直な主人公の生き様と首都アンマンの風情が胸に沁み入る珠玉のドラマです。

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2008で鑑賞し、印象深い1作。
老人と子供たちの触れ合いを軸に、家庭内暴力問題も折り込んだ普遍的な物語。アミン・マタルカ監督が、テロや戦争のイメージを払拭したいと語られたのですが、アンマンの町の魅力もたっぷりと描かれていました。(咲)

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アミン・マルタカ監督 SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2008の折に来日(撮影:景山咲子)


【イスラーム映画祭8上映作品⑨】
『午後の五時』原題:Panj É Asr 英題:At Five in the Afternoon
監督:サミラ・マフマルバフ / Samira Makhmalbaf
2003年 イラン=フランス101分
言語:ダリ語、英語
字幕:日本語、英語(with English Subtitles)
予告篇
https://vimeo.com/140703409

*イスラーム映画祭的名画座セレクト⑤

今年のイスラーム映画祭7で上映した『子供の情景』のハナ・マフマルバフ監督の姉、サミラ・マフマルバフ監督2003年の作品。
第一次タリバン政権崩壊後のアフガニスタンで撮影され、日本では2004年に劇場公開された。
映画は、将来アフガニスタンの大統領になりたいと思っている女性を主人公に、タリバン政権崩壊後の現地の混乱と人々の様子を描きます。
20年前の作品にもかかわらず、まるで今のアフガニスタン情勢を予見していたかのような内容に驚くばかり。本作も国内未ソフト化です。
再びアフガン音楽ライブも行います。

2004年に姉妹そろって来日した時の懐かしいレポートです。
『午後の5時』についても詳しく書いています。
今、サミラとハナは、どうしているのでしょう・・・(咲)

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サミラ・マフマルバフ監督&ハナ・マフマルバフ監督来日記者会見
サミラ・マフマルバフ監督トークショー&『午後の五時』上映会

http://www.cinemajournal.net/special/2004/samira_hana/index.html



【イスラーム映画祭8上映作品⑩】
『わたしのバンドゥビ』原題:Bandhobi
監督:シン・ドンイル / Dong-il Shin
2009年 韓国 107分
言語:韓国語、ベンガル語
字幕:日本語のみ(without English Subtitles)

予告篇
https://youtu.be/PcL2n1n6mgw

*イスラーム映画祭的名画座セレクト⑥

かつて『ソウルのバングラデシュ人』の邦題で映画祭上映され、その後『僕たちはバンドゥビ』の題でソフト化されたものの現在は廃盤。それを新訳・再改題してリバイバルいたします。
バンドゥビとは、ベンガル語で“(女性の)友だち”。
一人の女子高生とバングラデシュからのムスリム移民の交流のドラマが、日本にも通じる格差や移民をめぐる問題を描きます。
深刻なテーマを扱いつつも「広い世界に目を向けよう」という若者へのメッセージも込められた、こちらも知る人ぞ知る韓国映画の良作です。

【真!韓国映画祭2011】で上映された折の紹介文(咲)
17歳の女子高生ミンソ。シングルマザーの母親はカラオケ店の経営と恋人の世話で忙しくミンソのことをかまってくれない。夏休み、ミンソは英語塾に通おうとアルバイトを始めるが、なかなか資金が貯まらない。そんなある日、バスで隣の席に座ったバングラデシュから出稼ぎに来ているカリムのポケットからこぼれ落ちた財布を持ち逃げする。気づいて追いかけてきた彼が警察に突き出すというが、ミンソは願いを一つ聞くからチャラにしてくれと提案する。カリムは、前職場の社長宅に1年分の未払い給料を請求しに一緒に行ってくれと頼む・・・・

【韓国映画ショーケース2009】で『バンドゥビ』という原題で上映されましたが、バンドゥビとはベンガル語で友達のこと。ミンソとカリムはこんな風に出会ったけれど、だんだんと打ち解けていきます。ミンソとカリムの人種、性別、宗教の違いを超えての友情が爽やか。カリムと同じバングラデシュから出稼ぎに来ている人たちがお互い支えあって暮らしている姿も微笑ましい。一方、ミンソが英語塾の白人教師にカリムを紹介したときのカリムを見下げたような態度に、ミンソはふっと疑問を持ちます。母親の恋人も、「あの男と付き合うのは危険では?」と偏見丸出し。また、日本でもよく問題になる不法滞在の外国人に対する経営者の不当な扱いや出入国管理局の容赦ない態度は、韓国でも同じだなと思いました。カリムの語る「友達を笑わせることのできる者は天国へ行ける」というイスラームの教えに、共生のヒントがありそうです。(咲)




【イスラーム映画祭8アンコール①】
『私たちはどこに行くの?』 原題:Maintenant On Va Où? 英題:Where Do We Go Now?
監督:ナディーン・ラバキー
2011年 フランス=レバノン他 102分
言語:アラビア語、ロシア語、英語
字幕:日本語、英語(with English subtitles)
予告篇
https://www.youtube.com/watch?v=-Te9c2jReOg

『キャラメル』のリバイバルに合わせ、日本では劇場一般公開されなかったナディーン・ラバキー監督の長篇第2作、『私たちはどこに行くの?』を再び上映します。
本作もまた、『キャラメル』とはひと味違ったパワフルで魅力的な女性たちのドラマです。
ラバキー監督のこの2本を一度に観られるまたとない機会をぜひ。
★イスラーム映画祭2&5で上映


【イスラーム映画祭8アンコール②】
『長い旅』 原題:Le Grand Voyage 英題:The Great Journey
監督:イスマエル・フェルーキ / Ismaël Ferroukhi
2004年 フランス=モロッコ他108分
言語:フランス語、アラビア語他
字幕:日本語、英語(with English subtitles)
予告篇 https://youtu.be/3-22cObhUgQ
★イスラーム映画祭2015&6で上映

『ファーティマの詩(うた)』『エグザイル 愛より強い旅』に続くフランス“移民”映画小特集のもう1本として、『長い旅』を再び上映します。
フランスからサウジアラビアまで7ヵ国をまたぐ長大なロードムービーにして、本作はイスラーム最大の聖地マッカでの撮影が許された史上初めての長篇劇映画です。 お観逃しなく。


【イスラーム映画祭8アンコール③】
『ソフィアの願い』 原題・英題:Sofia
監督:マルヤム・ビンムバーラク / Meryem Benm'Barek
2018年 フランス=カタール=ベルギー=モロッコ 85分
言語:フランス語、アラビア語
字幕:日本語、英語(with English subtitles)
予告篇 https://youtu.be/BBdWdhyg0RE
★イスラーム映画祭7で上映
http://cineja3filmfestival.seesaa.net/article/485878168.html

前回の7で最も物議を醸した、カウサル・ビン・ハニーヤ監督と並び今にマグリブを代表する監督となるに違いない、マルヤム・ビンムバーラク監督の『ソフィアの願い』を再び上映します。
ひねりの利いた脚本によって、ジェンダーや家父長制に覆い隠されたモロッコの社会格差を炙り出す意欲作です。


【イスラーム映画祭8アンコール④】
『ガザを飛ぶブタ』 原題:Le Cochon De Gaza 英題:When Pigs Have Wings
監督:シルヴァン・エスティバル / Sylvain Estibal
2010年 フランス=ドイツ=ベルギー 99分
言語:アラビア語、ヘブライ語、英語
字幕:日本語のみ
予告篇
https://youtu.be/vkzjPGKqEY0
★イスラーム映画祭2015で上映

『太陽の男たち』の劇場初公開に合わせ、2015年の映画祭初回に上映した『ガザを飛ぶブタ』を再び上映します。 (名古屋と神戸では初公開)
パレスチナ難民をテーマに重く描いた50年前のモノクロの名画と、ポップに描いた現代のファンタジーコメディの競演はかなりレアです。

2011年の第24回東京国際映画祭で観客賞を受賞した作品。
『ガザを飛ぶブタ』のタイトルだけで惹かれ、観てさらに気に入った作品でした。
パレスチナ人の猟師がイスラーム教徒にとって不浄なブタを釣り上げてしまい困惑していたら、入植地にいるユダヤ人がブタを有効利用していると聞きつけて売り込みにいくという物語。ユダヤでもブタは不浄なもの。どう利用しているの?と、その発想だけで可笑しい。『迷子の警察音楽隊』で実直な音楽隊長が印象的だったサッソン・ガーベイが、ブタに羊の毛皮をかぶせて歩く姿がなんとも可愛いです。パレスチナ人の家の屋上は、イスラエル兵の見張り台に貸していて、居間でテレビドラマを観ているパレスチナ人の奥さんの脇にイスラエル兵が立って一緒に楽しむ場面もあって微笑ましいです。
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シルヴァン・エスティバル監督と主演女優ミリアム・テカイアさん。 (撮影:景山咲子)
ミリアムさんはチュニジア出身。ユダヤ人役ですが、実はムスリマ。監督とはプライベートでもパートナー。とてもラブリーなカップルでした。




東京フィルメックス 鑑賞作品短評です (咲)

東京フィルメックスの行動記録を書くのがすっかり遅くなりました。
東京国際映画祭と重複・連続しての開催、やっぱりしんどかったです・・・
実際、集客率にも響いたと感じました。


10月29日(土)
☆14:50 - 16:55 東京フィルメックス 開会式+ 『ノー・ベアーズ』(パナヒ監督/イラン)
トルコ・イスタンブルを舞台に、ヨーロッパに出国を試みるイラン人夫婦を描いた作品を、トルコ国境に近い村に滞在して、リモートで指示を出すパナヒ監督。自由を求める人たちの姿が、この7月に収監されてしまったパナヒ監督の思いに重なりました。
(本作については、公開が決まっていますので、公開前に詳しく紹介したいと思います。)


11月2日(水)
フィルメックスを優先して、東京国際映画祭クロージングの取材は暁さんにお任せ。
イラン映画が2本とも受賞したので、クロージングの取材に行きたかったです・・・
(同時期開催がうらめしい・・・と、しつこい?)

★12:15 - 14:07『地中海熱』 ☆学生審査員賞
監督:マハ・ハジ
パレスチナ、ドイツ、フランス、キプロス、カタール / 2022 / 108分

上映前にマハ・ハジ監督のビデオメッセージ。(女性監督でした!)

イスラエルのハイファで暮らすパレスチナ人のワリード。小説家を目指して、銀行を辞め家にいる。娘ヌールと息子シャムスの学校への送り迎えはワリードの役目。ある日、学校からシャムスが腹痛を訴えていると呼び出される。病院の女医から「地中海熱」だと診断される。隣に越してきた男ジャラールと出会いは悪かったが、いつしか親しい関係になる・・・
シャムスが毎週火曜日に具合が悪くなると娘から聞かされ、ワリードが息子に問うと、火曜日の地理の先生が、エルサレムはイスラエルの首都だというので、パレスチナの首都だと言い返したところ笑われたというのです。「地理も歴史もパパが先生に教えてやる」といきまくワリード・・・

カンヌ映画祭「ある視点」部門でプレミア上映。最優秀脚本賞受賞。


★15:10 - 16:55『ダム』 ☆スペシャル・メンション
監督:アリ・チェリ
フランス、スーダン、レバノン、ドイツ、セルビア、カタール / 2022 / 80分/
ナイル川のダムのほとりの村で、泥と水でレンガを作る男。夜になると、沙漠で不思議な泥の建造物を作っている・・・。
30年近く独裁体制を敷いてきたオマル・アル=バシール大統領に対する国民の抗議運動が盛んになった2019年頃が舞台。
主人公の眼力が鋭く、ちょっと不思議な物語でした。
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アリ・チェリ監督

★18:00 - 20:42『Next Sohee(英題)』 ☆審査員特別賞
監督:チョン・ジュリ
韓国 / 2022 / 138分 / 配給:株式会社ライツキューブ

女子高生のソヒは、学校の推薦でコールセンターの実習生として働き始めるが、自殺してしまう。労働環境や、推薦した学校にも問題があったのではと刑事が調べ始める・・・
少女が自殺した後、ペ・ドゥナ演じる刑事が登場。ちょっとぶっきらぼうだけど、少女の気持ちに寄り添おうとする姿がよかったです。
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上映後のQ&Aにチョン・ジュリ監督が登壇。ペ・ドゥナに演じてほしいと願いながら脚本を書いたと明かしました。
カンヌ映画祭批評家週間クロージング上映作品。


11月3日(木・祝)
★10:15 - 13:07『石門』
監督:ホアン・ジー&大塚竜治
日本 / 2022 / 148分/

20歳のリンは、彼から学費を出してもらってフライトアテンダントの学校に通っていたが、予期せず妊娠してしまう。子供を持つことも中絶も望まなかったリンは、診療所で死産の医療訴訟に巻き込まれている両親を助けるために、自分の赤ん坊を提供することにする・・・
ヴェネチア映画祭ヴェニス・デイズ部門でワールドプレミア上映。
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ホアン・ジー監督&大塚竜治監督

両親役は、ホワン・ジーさんのほんとのご両親。家族ぐるみで作られた映画です。今回は、都会が舞台で、前作とはまた違った雰囲気の中で女性の思いが語られていて、とても心に沁みました。

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『フーリッシュ・バード』(2017年)がアジア・フォーカス福岡映画祭で上映された折に、サイン会のテーブルの端っこでお絵かきしていた小さなお嬢ちゃんが、かなり成長されました。Q&Aで、ホアン・ジーさんが、娘になぜ産んだかと聞かれ、その答えを映画にしたと語り、舞台の裾に娘の千尋さんが一瞬登場しました。カメラが間に合わず、その姿を撮ることができなかったのですが、上映後、ロビーで大塚さんと千尋さんのツーショットを撮ることができました。5年ぶりの再会でした。



★14:10 - 17:09『同じ下着を着るふたりの女(原題)』
監督:キム・セイン ( KIM Se-in )
韓国 / 2021 / 140分 / 配給:Foggy
2021年10月に初上映された釜山映画祭でニューカレンツ賞を受賞。

シングルマザーの母親スギョンは、娘イジョンにいつも高圧的な態度だ。温和なイジョンは口では反発しないが、恨みが溜まっている・・・
母スギョンは、これでもかという位、暴力的な言葉を娘に浴びせます。演じた女優さん、凄い!
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キム・セイン監督の長編デビュー作。
上映後、キム・セイン監督、イジョンの友人役チョン・ボラムさん、撮影監督のムン・ミョンファンさんが登壇し、Q&Aが行われました。


11月4日(金)
★10:10 - 12:00『自叙伝』 ☆最優秀作品賞
監督:マクバル・ムバラク
インドネシア、フランス、シンガポール、ポーランド、フィリピン、ドイツ、カタール / 2022 / 116分
ヴェネチア映画祭オリゾンティ部門で上映。国際映画批評家連盟賞受賞。

1990年代の軍事独裁体制化のインドネシア。
18歳の青年ラキブは、刑務所に入っている父に代わって、邸宅の管理をしている。主の元将軍プルナが突然帰ってくる。プルナは地元の首長選挙に立候補し、ラキブは選挙運動を手伝うことになる・・・
独裁体制化の張りつめた空気感にぞくぞくしました。


★13:00 - 14:56『ホテル』
監督:ワン・シャオシュアイ
香港 / 2022 / 112分
コロナの感染が始まった2020年の春。タイ、チェンマイのホテルに足止めされた宿泊客たち。ソヴァは20歳の誕生日をこのホテルで迎えるべく母と共に来ていた。外出を禁じられ、中庭のプールで泳いでいたソヴァは、中年男性と言葉を交わすようになる・・・

『在りし日の歌』のワン・シャオシュアイ監督が実際に2020年の旧正月を過ごしたホテルを舞台に描いた人間模様。
トロント映画祭でワールドプレミア上映。


★15:50 - 17:50『ソウルに帰る』☆審査員特別賞
監督:ダヴィ・シュー
ドイツ、フランス、ベルギー、カタール / 2022 / 116分 /
韓国で生まれ、フランスで養父母に育てられた25歳のフレディ。彼女は初めて韓国に降り立ち、実の両親を探し始める・・・
カンヌ映画祭「ある視点」部門で上映


★18:50 - 20:43『アーノルドは模範生』
監督:ソラヨス・プラパパン
タイ、シンガポール、フランス、オランダ、フィリピン / 2022
国際数学オリンピックでメダルを獲得し、学校より「模範生」の表彰を受けたアーノルド。ある日、彼は大学入試で学生のカンニングを助ける地下ビジネスに加担してしまう。
ソラヨス・プラパパンの長編デビュー作。
ロカルノ映画祭新進監督コンペティション部門でワールドプレミア上映
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上映後にソラヨス・プラパパン監督が登壇。Q&Aが行われました。
主人公アーノルド役は、タイ語と英語を流暢に話せることが条件で、キャスティングは難航。やっと見つけたのは演技経験のない青年。ヌーボーとした雰囲気が面白いアーノルドだったのですが、演技の勉強はするなと指示して撮影に臨んだそうです。

*****

コンペティション9作品のうち、観客賞を受賞した日本映画『遠いところ』を除く8作品を観ることができました。ほぼ納得の受賞結果でした。『石門』にも賞が欲しかったです。


文化庁映画賞 受賞記念上映会

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池畑美穂

文化庁映画賞(文化記録映画部門)受賞作品受賞記念上映会が、東京国際映画祭の期間中である、2022年10月30日(日)に開催された。文化庁長官が、日本の文化として、映画はもちろん演劇や美術など日本芸術の日本からの海外発信が必要と、授賞式の挨拶でおっしゃっていた。
受賞作品の上映後、受賞者がゲストとして登壇し、作品の背景や製作秘話などを伺うことができた。

文化映画記録部門大賞 『私だけ聴こえる』
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監督:松井至
2022年/カラー/76分制作テムジン/リトルネロフィルムズ

この作品は、アカデミー賞作品賞『コーダ あいのうた』(2022年)でスポットライトがあたったコーダ(CODA=Child of Deaf Adults 聾唖の親を持つ子供)を主人公にした作品である。
2011年の東日本大震災で、アメリカのテレビ局のレポーターとして来日していたアシュリーさんは、両親、祖父母4世代にわたり聴覚障害の遺伝があった。自身の出産でも、生まれてくる子供に遺伝がないか心配だったという。
松井監督は仕事を通してアシュリーさんと知り合い、2015年にアメリカ現地をおとずれる。そこで、15歳の健常の子供が、聴覚障害の親とは手話で、社会では言葉で…と、親を社会とつなぐ架け橋になっており、この子供世代を総称して、「CODA」ということを知る。

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いっぽう日本では、優性保護法の判例で、聴覚障害者の子供は1人で、あとは産めない様に、不妊処置が取られたケースがある。これではCODAの数が限られてしまうと思う。私自身、地元の障害者センターでの勤務や、手話の初級講座を受講、中難手話の会参加、デフ協会の方との交流経験から、聴覚障害当事者だけでなく、その子供の会をCODAの会(聴覚障碍者の家族会)として、各市町村で立ち上げて、手話が聴覚障害者の家族とコミュニケーションを取る手段であることを広めることが必須だと思った。そして、その長所を生かして、手話講座の講師やアシスタントの育成と、映画の中にあるコーダキャンプでのコーダたちの心の悩みを傾聴して、受容して、否定しないで非審判的態度で、希望が持てるようにしてあげるソーシャルワーカーの育成も急務だと思う。
さらに、2025年に東京で招致が決まったデフリンピック東京大会に向けて、各都道府県での手話通訳ボランティアの育成や、渋谷の東京都聴覚障害者連盟にある自立支援施設での手話のできる社会福祉士、精神保健福祉士の育成が、CODAが目指す将来の選択肢として必要だと思う
上映会で松井監督は、日本のCODAキャンプに密着したドキュメンタリー映画を次期作とする、とおしゃっていたのでとても楽しみである。また、『カナルタ 螺旋状の夢』の太田光海監督が質問されて、他者の自己理解ということで、新進監督同士で、親交を深められていた。

*シネジャの『私だけ聴こえる』作品紹介はこちら



優秀賞『うむい獅子 -仲宗根正廣の獅子づくり-』
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監督:城間あさみ
2022年/カラー/58分 制作株式会社海燕社

古代、獅子舞は、アジア各地、そして日本でも全国的にみられる伝統文化である。その中でも特にシーサーに象徴される沖縄での獅子舞の愛され方は特徴的だ。城間監督は、師弟関係にあたる野村岳也監督と沖縄戦を舞台にした作品の構想を練っていたが、野村監督が逝去された。その後、沖縄の伝統文化を追ったドキュメンタリー作品を制作している。
本作品は、木彫刻師、中曽根正廣氏が300年の歴史をもつ獅子舞の獅子頭を彫る過程を丹念に取材したドキュメンタリ―作品である。
沖縄の地元に根ざした映画づくりを続ける城間監督は、これまでも唯一日本で連合軍と地上戦となった沖縄を題材にした作品を製作してきたが、あわせてシーサーやぶくぶく茶、ゆんたくなど、地域の繋がり、助け合い、共助のなど沖縄の伝統文化の伝承も重要であると考えている。その一つとして獅子頭づくりがある。
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上映会のトークショーで、城間監督が、故人の野村監督に話が及ぶと涙ぐまれたのをみて、監督の心の喪失感が感じられた。時間が悲しみを癒してくれるにちがいない。支援者の助力により、新しい作品を制作することで、新たな希望が湧いてくることを願います。


優秀賞『カナルタ 螺旋状の夢』
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監督:太田光海
2020年/カラー/121分
太田光海監督は、日本で少年時代を過ごし、パリで人類学の修士号を取得した。そして、カメラや映像などの趣味から、デジタルカメラを自ら回し、フィ―ルドワークとして映像人類学という新しい分野でイギリスのマンチェスター大学大学院において博士号を取得した。
初監督となるこの作品は、スペインの植民地だったエクアドル南部アマゾン熱帯雨林のシュワ―ル族が暮らすケンクイム村が舞台。自らカメラを回し、初の女性村長であるパストーラ夫妻の1年間を追った。 自然の中、たくましく生きる彼らの姿に生命力が感じられる。
シュワール族は、熱帯雨林の中、21世紀の文明社会とかけ離れた日本でいうと縄文時代の生活様式に類似する原住民生活を送っている。政府は、彼らを生きる世界国宝と考え、助成金を出し、原住民を強制的に現代化、文明化するのではなく、逆に、アマゾンの先住民族の生活様式を保存するべく支援している。

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太田監督の次期作は、東京が舞台とのこと。日本人の生活様式や文化をフィ―ルドワークとしてカメラで追うのか、それとも在日外国人の生活模様を題材とするのか、監督の2作品目が期待される。

*シネジャの『カナルタ 螺旋状の夢』作品紹介はこちら

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★写真は、すべて、「公益財団法人ユニジャパン 国際支援グループ」様よりご提供いただきました。





香港映画祭2022

ファンの熱い声援に支えられ、今年も全国5都市にて開催決定!!
2022年11月26日(土)から12月28日(水)まで、全国5都市にて「香港映画祭2022」が開催されます。

■期間・会場
11月26日(土)~12月2日(金) シネ・ヌーヴォ(大阪) 
12月2日(金)~12月8日(木) 出町座(京都)
12月10日(土)~12月16日(金) 元町映画館(兵庫)
12月17日(土)~12月23日(金) シネマスコーレ(愛知)
12月27日(火)、28日(水) ユーロライブ(東京)
※上映スケジュールは各劇場HPをご参照ください。
※ユーロライブのみ12月19日(月)0:00よりLive Pocketにてチケット発売予定。詳細は公式HPをご確認ください。本映画祭について、ユーロライブへのお問合せはお控え下さい。

■プログラム
香港を知る、香港を楽しむ、いま観るべき、日本初公開となる珠玉の19作品をラインナップ!
全国5都市にて開催!上映スケジュール等詳細は、公式HPをご覧ください。

主催:香港映画祭実行委員会
共催:シネ・ヌーヴォ、出町座、元町映画館、シネマスコーレ、シネフィルム、Cinema Drifters
助成:文化庁、ARTS for the future!2
宣伝:大福

公式サイト: https://hkfilm2021.wixsite.com/2022

2022年を締めくくる香港映画祭は日本初公開19作品をラインナップ!

2022年11月26日(土)から12月28日(水)まで、シネ・ヌーヴォ(大阪)を皮切りに、出町座(京都)、元町映画館(兵庫)、名古屋シネマスコーレ(愛知)、ユーロライブ(東京)にて開催されます。
日本ではなかなか観る機会のない貴重な日本初上映作品をラインナップ。日本初上映19作品(短編を含む)が上映されます。
2022年は、映画『男たち挽歌 4Kリマスター版』、ウォン・カーウァイ監督の『WKW4K ウォン・カーワイ4K』、カンヌ国際映画祭でサプライズ上映された『時代革命』、香港が誇る七人の監督による『七人樂隊』、デビュー作で台湾アカデミー賞を席捲した『少年たちの時代革命』、山形国際ドキュメンタリー映画祭大賞を受賞した『理大囲城』、「Making Waves - Navigators of Hong Kong Cinema 香港映画の新しい力」開催など、新旧多くの香港映画が公開され話題を呼びました。
香港映画に沸いた2022年の総決算として「香港映画祭2022」は、ここでしか観られないインディペンデント映画から、海外映画祭を席捲した大ヒット映画まで幅広くラインナップ! 新人監督の作品から、トップスターが出演する作品まで幅広いラインナップになっています。香港トップスター故アニタ・ムイの伝記映画『アニタ』で香港アカデミー賞(香港電影金像奨) 最優秀女優助演賞を受賞したフィッシュ・リュウが出演する『風景』、ジャッキー・チェン映画でもお馴染みの名バイプレーヤーの太保(タイポー)が優秀男優賞受賞した『ソク・ソク』(原題:叔・叔)。90年代を代表する女優・李麗珍(ロレッタ・リー)の久しぶりのカムバック作であり、香港映画を代表する呉鎮宇(フランシス・ン)が主演する、実際の事件をベースにした『香港の流れ者たち』(原題:濁水漂流)は、香港映画ファンならずとも見逃せない作品です。
またデビュー作の映画『少年たちの時代革命』(12月よりポレポレ東中野にて公開)で台湾アカデミー賞を席捲した、レックス・レン監督とラム・サム監督の短編集も上映される貴重な機会です。

■香港映画祭2022キュレーター林家威(リム・カーワイ)監督より
香港映画祭2022開催に寄せて(公式HP)
2021年年末に初開催された「香港映画祭2021」は、日本未公開の香港映画7作品を、大阪・京都・神戸・名古屋・東京の全国五大都市のミニシアターで巡回上映し、大盛況のうちに閉幕した。そして今年も香港映画祭がやってくる!
そもそも香港映画祭をはじめたのは、香港の社会と政治の変化を反映した香港映画が多く制作されているにも関わらず、日本の映画祭や配給興行の傾向と合わず、日本に紹介されない作品が多くあったことが大きな理由であった。そうした香港映画の多様性と魅力をもっと沢山の日本の映画ファンに届けたいという思いから、本映画祭ははじまった。今年も同じ趣旨で開催するつもりだったが、1年も経たないうちに日本における香港映画の受容状況に変化があることに気づいた。
エンターテイメント映画やインディ映画、香港では上映禁止となった映画、黄金期の香港映画など、多くの香港映画が日本では次々と劇場公開されており、リバイバル上映や特集上映なども大変賑わっている。そこに配信を含めると、今の日本はおそらく世界中で一番香港映画を観ることができる国である。この映画鑑賞状況は実に健全で素晴らしいことだ。それでも日本に紹介されていない素晴らしい香港映画がまだ数多くあるはずだ。作品の選考から、配給会社や監督たちとの交渉の結果、短篇映画を含め昨年よりも多くの未公開作品(なんと19本!)を本年の映画祭で上映することとなった。

第23回東京フィルメックス 受賞結果

11/5(土)に行われた授賞式で、各賞の発表が行われました。

◆コンペティション 受賞結果

【最優秀作品賞】 
『自叙伝』Autobiography
監督:マクバル・ムバラク(Makbul MUBARAK)
インドネシア、フランス、シンガポール、ポーランド、フィリピン、ドイツ、カタール / 2022 / 116分

【審査員特別賞】 
『ソウルに帰る』Return to Seoul
監督:ダヴィ・シュー(Davy CHOU)
ドイツ、フランス、ベルギー、カタール / 2022 / 116分

【審査員特別賞】 
『Next Sohee(英題)』
監督:チョン・ジュリ(JUNG July)
韓国 / 2022 / 138分
配給:ライツキューブ

【スペシャル・メンション】 
『ダム』The Dam
監督:アリ・チェリ(Ali CHERRI)
フランス、スーダン、レバノン、ドイツ、セルビア、カタール / 2022 / 80分

☆第23回東京フィルメックス コンペティション審査員:
リティ・パン ( Rithy PANH / フランス・カンボジア / 映画監督 )
キム・ヒジョン ( KIM Hee-Jung / 韓国 / 映画監督 )
キキ・ファン ( Kiki FUNG / 香港 / 映画プログラマー )

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◆観客賞
『遠いところ』A Far Shore
監督:工藤将亮(KUDO Masaaki)
日本 / 2022 / 128分
配給:ラビットハウス

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◆学生審査員賞
『地中海熱』Mediterranean Fever
監督:マハ・ハジ(Maha HAJ)
パレスチナ、ドイツ、フランス、キプロス、カタール / 2022 / 108分

学生審査員:
はるおさき(HARUO Saki / 東京藝術大学大学院)、山辺愛咲子(YAMABE Asako / 武蔵野美術大学)、高野志歩(TAKANO Shiho / 立教大学)

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タレンツ・トーキョー

◆タレンツ・トーキョー・アワード2022
「Forte」(ソン・ヘソン(SON Heui Song)/韓国)

◆スペシャル・メンション
「Future Laobans」(マウン・サン(Maung Sun)/ミャンマー)

「TROPICAL RAIN, DEATH-SCENTED KISS」(シャルロット・ホン・ビー・ハー(Charlotte HONG Bee Her)/シンガポール)

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受賞理由など詳細は、こちらで!
https://filmex.jp/2022/program/competition