SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019『バッド・アート』タニア・レイモンド監督  (咲)

私が早起きできなくて観れなかった『バッド・アート』の感想を友人の毛利奈知子さんからいただきました。下記タニア・レイモンド監督の写真も毛利さん提供です。(咲)
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7月15日(祝)11時からの『バッド・アート』(アメリカ、2019年、ジャパンプレミア)を観てきました。

アメリカのTVシリーズ「LOST」やアマゾンプライムの
オリジナルドラマ『弁護士ビリー・マクブライド』他アメリカのTVドラマを中心に活躍している女優タニア・レイモンドが、
今回、長編映画を絵画・彫刻のアーティストジオ・ゼッグラーと共同
で初監督した映画。

タニア・レイモンドは、今回のSkipシティ映画祭の目玉となる大物ゲストの一人かと思います。

映画祭ガイドのチラシには”スラップスティック・コメディ”と書いてあったので、
ナンセンスなどドタバタコメディー映画だったら少々苦手だなあと思いつつ観に行きました。実際に観てみるとドタバタ感は、思ったより控えめでアート業界への風刺を込めたセリフとともに、ゼックラーのモダンなアートも同時に楽しめるコメディータッチの小洒落たアートな映画といった印象でした。

自己主張の強い登場人物が次々と登場してそれぞれがそれぞれの立場で、
あれこれ主張し、しゃべり続けるセリフの多い映画です。

議論好きの登場人物が何人も出てきて、風刺も効いていて、飛躍しすぎかもしれませんが、ある意味フランス映画っぽいと思いました。アカデミックなアート論なんかも出てきて知的な要素もある映画。
Q&A『映画の最後が英語の映画なのに、The endじゃなくてFinとフランス語なのはなぜですか?』という質問が出たときには、その方がおしゃれだと思ったといった回答をされていましたが、加えてタニア・レイモンド氏のお母さまはフランス人だということも話されていました。
その影響でフランス映画っぽい雰囲気が醸し出されたのかとふと思ったりもしました。

上映後の質疑応答では、タニア・レイモンド氏が今後この映画の脚本を舞台演劇として、毎回違う絵画のアーティストを取り上げるような計画もあるとのことでした。実際この映画では撮影場所は雇われ画家のアトリエの部屋と庭といった限られた空間のみの中で展開され、舞台演劇っぽい雰囲気いっぱいの映画でしたので、そういわれて納得。

存在感と華の両方を兼ね備えたタニア・レイモンドの主役としての演技も光ってました。

2回目の上映は7月18日(木)17時から多目的ホールにてとのことなので、
お時間の許す方はご覧になってみてはいかがでしょうか!
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東南アジア映画の巨匠たち/響きあうアジア2019 (暁)

響きあうアジア 2019 特集上映「東南アジア映画の巨匠たち」オープニングセレモニー&『メモリーズ・オブ・マイ・ボディ』(ガリン・ヌグロホ監督)上映
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【日時】2019年7月4日(木)18:30~
【場所】 有楽町スバル座
【登壇者】ガリン・ヌグロホ、ブリランテ・メンドーサ、エリック・クー、カミラ・アンディニ、ナワポン・タムロンラタナリット森崎ウィン(スペシャルゲスト)安藤裕康(国際交流基金理事長)、久松猛朗(東京国際映画祭 フェスティバルディレクター)

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ゲストの皆さん

国際交流基金アジアセンターが、日本と東南アジアの文化交流事業を幅広く紹介する祭典「響きあうアジア2019」。舞台芸術、映画、混成サッカーチーム国際親善試合などの様々なイベントプログラムのひとつとして、躍進目覚ましい東南アジア映画を様々な形で紹介してきた東京国際映画祭と共に、スペシャルプログラムを組み特集上映。国際的に活躍する東南アジアの監督を迎えての上映とトーク、日本と東南アジアの映画交流に関するシンポジウムなどが実施されている。
特集上映「東南アジア映画の巨匠たち」のオープニングセレモニーが7月4日、東京・有楽町スバル座で行われ、ゲストとしてガリン・ヌグロホ監督(インドネシア)、ブリランテ・メンドーサ監督(フィリピン)、エリック・クー監督(シンガポール)、ヌグロホ監督の長女であるカミラ・アンディニ監督、ナワポン・タムロンラタナリット監督(タイ)、安藤裕康氏(国際交流基金理事長)、久松猛朗氏(東京国際映画祭フェスティバル・ディレクター)が出席。ミャンマー出身で俳優、アーティストとして活躍する森崎ウィンも登壇。

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ガリン・ヌグロホ監督

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ブリランテ・メンドーサ監督

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エリック・クー監督

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カミラ・アンディニ監督

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ナワポン・タムロンラタナリット監督

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森崎ウィン

ヌグロホ監督は「わたしのキャリアの一部は日本で形成されたといっても過言ではありません。東京国際映画祭では12本もの作品が上映されました」と感謝の言葉。また、昨年、第31回東京国際映画祭コンペティション部門の審査委員長を務めたメンドーサ監督は、「来年早々にも日本との合作をプロデュースする」と語り、「日本の映画人の皆さんと映画作りを続けていきたい」と結んだ。
森崎ウィンは「東南アジア各国を代表する監督の皆さんに来ていただいたこの場に呼んでいただき、感謝しています」と語り、「現在は日本とミャンマーの両国で活動をしていて、夢はアジア各国の映画に出ること。海外に東南アジアの魅力を伝えられたらと思います。そして最先端の東南アジア映画に触れて、そのカルチャーにも注目してもらえれば」と語った。
『メモリーズ・オブ・マイ・ボディ』『アルファ 殺しの権利』『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』『ミーポック・マン』[デジタルリストア版]』『一緒にいて』『十年 Ten Years Thailand』『飼育』『見えるもの、見えざるもの』『ダイ・トゥモロー』『アジア三面鏡2018:Journey』など全10プログラムが上映される。

オープニングセレモニー後にはガリン・ヌグロホ監督の最新作『メモリーズ・オブ・マイ・ボディ』(2018年)がジャパンプレミア上映された。
中部ジャワのレンゲル(女装した男性が踊る女形舞踊)のダンサーを主人公にし、地域の伝承芸能に根付くLGBTQの伝統を描いた。「ひとつの身体の中に混在する男性性と女性性、を描き、男性の身体の美しさを表現しました」とトークで語った。
(2018/インドネシア/106分)

特集上映「東南アジア映画の巨匠たち」は、7月10日まで有楽町スバル座で開催。

伝説の監督 ヤスミン・アフマド 没後 10 周年記念特集上映開催!

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2009 年7 月25 日に、わずか51 歳の若さで亡くなったマレーシアのヤスミン・アフマド監督。その没後 10 周年を記念し、全長編6作品を一挙上映する特集上映が7月20日(土)~8月23日(金)にシアター・イメージフォーラムで開催される。
民族、宗教、言語が混ざり合う多民族国家マレーシアを舞台に、厳しい現実に直面しながらも、あらゆる壁を軽やかに超え、決して微笑みを忘れないヤスミンの世界。東京国際映画祭をはじめとする映画祭での上映や自主上映を重ねてたくさんのファンに愛され、2017年に代表作『タレンタイム〜優しい歌』(09)が初の劇場公開となってロングランヒットを記録した。
今回の記念特集では『細い目』、『グブラ』、『ムクシン』、『ムアラフ』の4作品に出演した女優のシャリファ・アマニ、『グブラ』楽曲や『タレンタイム』楽曲&音楽を担当したピート・テオが来日し、7月20日、7月21日の 上映後に登壇。ヤスミン・アフマド監督との思い出を語る。貴重な機会といえるだろう。

<伝説の監督 ヤスミン・アフマド 没後 10 周年記念 特集上映 概要>
日程:7月20日(土)~8月23日(金)
会場:シアター・イメージフォーラム (〒150-0002 渋谷区渋谷 2−10−2)
上映作品:
『ラブン』(03)、『細い目』(04)、『グブラ』(05)、 『ムクシン』(06)、『ムアラフ-改心』(07)、『タレンタイム〜優しい歌』 (09)
公式サイト:http://moviola.jp/yasmin10years/
特別3回券 3,900 円(税込)5月20日より発売
(当日1作品あたり一般 1,800 円のところ)

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<ヤスミン・アフマド監督プロフィール >
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1958.7.1-2009.7.25
母方の祖母は日本人。イギリスで心理学を学び、その後CMの世界で働く。03年に『ラブン』で映画監督デビューし、 その後、実妹と同じ名前で自身を投影した女性オーキッドを主役にした三部作、『細い目』(04)、『グブラ』(05)、 『ムクシン』(06)を発表。東京国際映画祭やベルリン国際映画祭での受賞をはじめ、国内外で大きな注目を集める。 続く『ムアラフ-改心』(07)では東京国際映画祭アジア映画賞スペシャル・メンションを受賞。さらなる活躍が期待されたが、『タレンタイム~優しい歌』(09)公開直後に、脳内出血により死去。活動期間はわずか6年、残した長編は6本と少ないが、その映画世界は、今さらにその重要性を増している。

<上映作品>
第1作 ラブン
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定年を迎えた父、母、就職したばかりの娘オーキッド。父は定年を機に田舎の実家を改築して暮らそうとするが、近隣の住人とうまくいかず…。家族の肖像をコミカルに描く。「ラブン」とは、目がかすむことの意味。次作から主役となる“オーキッド”が登場した記念すべきデビュー長編。

出演:M・ラジョリ カルティナ・アジズ
MVA最優秀アセアン映画賞受賞
2003/Rabun/カラー/90分
提供:Primeworks
協力:一般社団法人コミュニティシネマセンター

第2作 細い目
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香港の映画スター(金城武)が大好きなマレー系少女オーキッドは、露店で海賊版の香港映画ビデオを売る中国系の 少年ジェイソンと出会い恋に落ちる。民族や宗教が異なろうと、彼らの家族は2人の恋を理解するが…。細い目とは、 中国系の目が細いことをからかうマレーシアの言い方。

出演:ン・チューシオン シャリファ・アマニ
マレーシア・アカデミー賞グランプリ
東京国際映画祭最優秀アジア映画賞
2004/Sepet/カラー/107 分
配給:ムヴィオラ
協力:一般社団法人コミュニティシネマセンター

第3作 グブラ
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『細い目』の数年後。結婚したオーキッドは、父の入院をきっかけに、夫の裏切りに気づく。一方、町の反対側にある低所得者の地域では、イスラム教聖職者とその妻が、近隣者の困難に向き合う。 2つの世界をパラレルに描く意欲作。

出演:シャリファ・アマニ アドリン・ラムリ
マレーシア・アカデミー賞グランプリ
2005/Gubra/カラー/113 分
提供:Nusanbakti Corporation Sdn Bhd
協力:一般社団法人コミュニティシネマセンター

第4作 ムクシン
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オーキッドは10歳、ムクシンは12歳。夏休みに出会った二人はすぐに仲良くなる。ムクシンは、オーキッドに恋心を抱くが…。それぞれの抱える家族や近隣者の悩みを浮かび上がらせながら、幼い2人の思春期の入口の輝きを描き出す。

出演:モハマド・シャフィー・ナスウィプ シャリファ・アルヤナ シャリ ファ・アマニ
ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門審査員グランプリ
2006/Mukhsin/カラー/97 分
提供:Primeworks
協力:国際交流基金

第5作 ムアラフ-改心
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父を嫌って家出したマレー系の姉妹。叔母の所有する空き家に暮らす2人は、中国系のキリスト教徒の青年教師と出会う。彼は子供時代のつらい記憶から宗教を憎悪していたが、信仰を大事にする姉妹に惹かれるうち、自分を前向きに 変えて行く。

出演:ブライアン・ヤップ シャリファ・アマニ
東京国際映画祭アジア映画賞スペシャル・メンション
2007/Muallaf/カラー/87 分
提供:Orked Binti Ahmad
協力:一般社団法人コミュニティシネマセンター

第6作 タレンタイム~優しい歌
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ピアノの上手なムルーは、耳の聞こえないマヘシュと恋に落ちる。二胡を演奏する優等生カーホウはギターがうまい転入生ハフィズに嫉妬する。たくさんの民族が暮らす街で、音楽コンクール“タレンタイム”に挑戦する高校生 たちのかけがえのない青春とその家族を描くヤスミンの遺作長編。

出演:パメラ・チョン マヘシュ・ジュガル・キショール
音楽:ピート・テオ
マレーシア・アカデミー賞最優秀監督賞含む主要4賞
シネマニラ国際映画祭最優秀東南アジア映画賞
2009/Talentime/カラー/115分
配給:ムヴィオラ

<特別上映作品>
●15 マレーシア (15 Malaysia)
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ピート・テオが企画したマレーシアの監督 15 人によるオムニバス作品。マレーシア社会の多様性をすくい取 っている。この中の短編「チョコレート」がヤスミン・アフマドの遺作となった。

監督:ヤスミン・アフマド、ホー・ユーハン、ジェームス・リー他
製作:ピート・テオ
2009/カラー/80 分

【同時上映】ピート・テオ制作作品
提供:ピート・テオ
協力:東京国際映画祭プログラミンググループ

● Here in My Home [Music video] 2008年/4分
監督:ヤスミン・アフマド、ホー・ユーハン
プロジェクトプロデューサー・作曲:ピート・テオ

● I Go [Music video] 2008年/4分
監督:カマル・サブラン
製作・作曲・出演:ピート・テオ

<来日ゲスト(7/20、7/21 上映後に登壇)>
シャリファ・アマニ
(『細い目』『グブラ』『ムクシン』『ムアラフ』女優)
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映画、舞台で活躍。特にヤスミン・アフマド監督作品で知られており、『細い目』、『グブラ』、『ムクシン』、『ムアラフ―改心』 の4作品に出演し、ヤスミン作品に欠かせない存在となる。『タレンタイム〜優しい歌』では、サード助監督も務めた。日本との結び つきも深く、細井尊人監督『クアラルンプールの夜明け』や国際交流基金アジアセンター×東京国際映画祭共同製作のオムニバス映画 『アジア三面鏡 2016:リフレクションズ』では行定勲監督の「鳩 Pigeon」に出演し、津川雅彦、永瀬正敏と共演。2018 年には、 日本で公演した日本・マレーシア・インドネシア共同制作の舞台「ビューティフル・ウォーター」にも出演。自らも短編映画を監督す るなど、多彩な活躍を続けている。

ピート・テオ
(『グブラ』楽曲、『タレンタイム』楽曲&音楽)
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シンガーソングライター、映画音楽家、俳優、映画プロデューサーとして活躍するマレーシアを代表するマルチ・アーティスト。ヤス ミン・アフマド監督との仕事は、2004 年に始まり、『グブラ』に主題歌「Who for you?」を提供。『タレンタイム〜優しい歌』で は「I Go」「Angel」「 Just One Boy」を映画のために書き下ろした。ヤスミンとは長編映画だけでなくミュージックビデオや CM で も一緒に仕事をしている。ヤスミン以外にもマレーシア新潮流の監督たちと交流が深く、マレーシア映画界を牽引する重要な人物でも ある。2017 年には押井守監督のアニメ映画『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』のハリウッド実写版『ゴースト・イン・ザ・ シェル』に俳優として出演。

シネマジャーナル ヤスミン・アハマド関連記事もよろしかったらご覧ください。(暁)

●2006年 シネマジャーナル本誌69号 ヤスミン・アハマド監督特集 
『ラブン』『ガブラ』『マクシン』 『Rain Dogs』『グッバイ・ボーイズ』『クブラドール』『永遠の夏』『分かち合う愛』を紹介
http://www.cinemajournal.net/bn/69/contents.html

●2007年 ピート・テオ 大特集 インタビュー
http://www.cinemajournal.net/special/2007/peteteo/index00.html

●シネマジャーナル本誌71号にも上記ピート・テオインタビュー掲載
http://www.cinemajournal.net/bn/71/contents.html

●2009年 第22回東京国際映画祭ピックアップ特集
ホー・ユーハン(何宇恆)監督インタビュー
(最後にヤスミン・アフマド監督急逝お知らせあり)
http://www.cinemajournal.net/special/2009/Ho_Yuhang/index.html

●2015年 スタッフ日記 マレーシア映画ウィーク あと2日です
(ン・チューセン、シャリファ・アマニ、ピート・テオ来日。『細い目』主人公のン・チューセンの来日はこの時だけです)
http://cinemajournal.seesaa.net/article/417481741.html

●2018年 第31回東京国際映画祭 ピート・テオ特集
http://cineja3filmfestival.seesaa.net/article/463436408.html